2013/05/20

「ラグビー共和国」に『60万回のトライ』の記事が掲載されました。
(「ラグビー共和国」は、日本全国ラガーマンたちが絶対的な支持を送っているラグビー専門サイトです)

そもそも、なんで大阪朝高ラグビー部をドキュメンタリー映画にしたかったのか、大阪朝高ラグビー部を追いかけながら感じたラグビーの魅力はなんだったのかなど、朴思柔監督の声と共に、映画製作支援まで呼びかけて下さいました。「ラグビー共和国」の見明亨徳様、ありがとうございます

リンク↓
 http://rugby-rp.com/news.asp?idx=104224&code_s=1006


ラグビー共和国(RUGBY REPUBLIC)のNEWSページです。
[ 登録日:2013年05月07日 ]
その他①コンテンツ【編集】リーグ大阪朝高密着取材映画『60万回のトライ(仮題)』、公開へ向け制作中。
大阪朝高ラグビー物語。制作、公開の応援をよろしくお願いします。


 大阪朝鮮高級学校ラグビー部を取材したドキュメンタリー映画「60万回のトライ」が2013年秋の公開に向けて最後の編集作業が行われている。監督は韓国出身の女性ジャーナリスト朴思柔(パク・サユ)さん。
 この映画は、2010年4月、全国選抜大会決勝で東福岡高校に挑み、敗れた大阪朝高を以後3年間に渡って密着取材したものだ。
 タイトルの「60万回のトライ」とは、日本に住む在日コリアン約60万人の夢・希望というテーマを含んでいる。


 登場する選手は金寛泰(キム・ガンテ)主将(現・関西学院大3年)、権裕人(コン・ユイン、帝京大3年)、朴誠基(パク・ソンギ、帝京大3年)、金勇輝(キム・ヨンヒ、法政大3年)ら「黄金世代」と呼ばれた選手たちとその後輩達だ。
 朴さんが大阪朝高に関心を持ったのは'07年1月。大阪朝高が、地元・東大阪市が提訴した「運動場明け渡し裁判」という裁判により、グラウンドを失われるかもしれない事態に陥ったことを知った。朴さんは'05年から韓国のニュース専門TV局で在日コリアンの歴史、問題を取材し、報道してきた。東京にある東京朝鮮初級学校で起きた土地明け渡し裁判も取材。'07年3月、東京は和解判決を得た。その直前に起きた大阪朝高の「運動場明け渡し裁判」も取材することになった。


「初めて大阪朝高を訪れたのは、'07年のある雨が降る日。大阪朝高のグラウンドは、排水がよくなく、雨が降ると生徒は泥んこになってしまう。雨あがりのグランドでは、サッカー部とラグビー部の高校生たちが、グラウンドを二分して、練習していた。サッカー部もラグビー部も皆泥まみれになって、一所懸命にはつらつ練習しているのがすごく印象的でした。水たまりに映される選手たちの姿を撮影した」(朴さん)
 韓国ではラグビーは不人気種目だ。しかも女性がサッカーでなく何故ラグビーに興味を持ったのか。

「当時、大阪朝高はサッカー部が全国大会で活躍中だったので注目されていました。サッカー部の存在よりラグビー部の姿が目に入ったのは、練習を終えたラグビー部の子達が、グラウンドに向けて一人一人挨拶をする姿でした。腰を下げて丁寧に、誰もいいかげんな挨拶をすることなく、ものすごく丁寧なお辞儀をしてからやっと、一日の練習が終えるようでした。しかも生徒だけではなく、監督やコーチまで練習が終わったグラウンドを振り向いて丁寧にお辞儀をしていた。韓国で『大阪朝鮮高級学校が不当な裁判にかけられて、泥まみれの中でも感謝の気持ちで運動している子供たちのグラウンドを奪われるかもしれない危機です。地域の日本の方々が署名活動などで積極的に運動が広げている。韓国の政府や市民の皆様、同胞の子供たちのグラウンドを共に守りましょう』というニュースを流したことから、大阪朝高ラグビー部との縁が始まりました」(朴さん)。


 朴さんはラグビーの、「All for one, one for all」が好きだ。'10年4月、「サニックスワールドラグビーユース交流大会」に出場した大阪朝高、主将・金寛泰は右ひざを負傷した。大会期間中、幼馴染の金哲弘(キム・チョルホ)がおぶって移動を助けた。幼馴染を笑顔で助ける友達の優しさに触れたという。さらに同年12月の「第90回全国高校大会」2回戦で脳震盪を起こし、以降の試合に出場できなかったCTB権裕人のために同年代の選手たちが翌年1月、親善試合を開催した。朴さんはここに「ラグビーのノーサイドの精神、魅力を感じました」と話す。
 映画は今年3月卒業した生徒たちで撮り終えた。現在は秋の公開と山形国際ドキュメンタリー映画祭、釜山国際映画祭への出品を目指して編集中。


 しかしここで問題が生じた。映画完成には資金が不足している。映画制作の支援の輪も広がり始めた。撮影が終わり、編集作業に入るところで、岡本有佳(フリー編集者)と永田浩三(武蔵野大教授/元NHKプロデューサー)がプロデューサーとして加わり、永田教授の紹介で中竹竜二・日本ラグビー協会コーチングディレクター(元早大ラグビー部監督)も全面支援を申し出た。中竹氏は「大阪朝高の呉英吉(オ・ヨンギル)監督を指導者として一目置いている」という。
 映画に登場する世代の1学年上、大阪朝高ラグビー部は‘10年1月の「全国高校大会」でベスト4に進出した。当時の主将・呉泰誠(オ・テソン、早大4年)は映画について「本当に最高です。少しですが自分たちが日本の社会で認められた結果だと思います。みんな仲良くしたい」と話す。


 支援を求める映画の「ラッシュの上映会とトークイベント」が2回、5月下旬に行われる。
【5月23日(木)】18:30開演。横浜市「横浜YMCA」(関内駅)。応援講演・田中優子さん(江戸文化研究者、法政大教員)。ラッシュ上映と朴思柔監督トーク。
【5月24日(金)】18:30開演。杉並区「セシオン杉並」(丸ノ内線・東高円寺駅)。応援講演・中竹竜二さん、呉英吉監督。ラッシュ上映と朴思柔監督トーク。

*参加費は共通/一般700円、大学生300円、高校生以下無料。


*上映会、映画への問い合わせは下記『コマプレス』まで。http://www.komapress.net/

文/見明亨徳